赤ちゃんはコップ飲みから練習しましょう!

〜ある日の診療室の会話〜

お母さん
うちの子、ストローでうまく水が飲めないんです…どうやって教えたらいいですか?
パパ先生
皆さんが間違っているんですが、最初にスパウトやストローから始めると口の発達が遅れてしまいます…実は最初に練習して欲しいのは「コップ飲み」です。今回はコップ飲みに重要性について説明しますね。

赤ちゃんは大人と嚥下(飲み方)が異なります。

赤ちゃんは僕らと水の飲み方が違います!

よく意味が分からないですよね…

簡単に説明すると「赤ちゃんは舌を前に出しながらおっぱい(ミルク)飲みます」、お母さんも舌を前に出しながら水飲んでください、飲めますか??飲めたらそれは間違えた飲み方(嚥下)です。通常では舌を出しながらは水は飲めません。

このような舌を前に出して飲む飲み方を「乳児嚥下」といい、唇が開いたまま、呼吸をしながら、舌が前に出た状態で飲み込みをします。一方成人は「成熟嚥下」といい、口をしっかり閉じて、呼吸を停止して、全ての歯が噛み合って飲み込みます。

また、乳児嚥下は「反射(自分のコントロールなく)で飲みます」、成熟嚥下は「自分でコントロールして飲みます

このように赤ちゃんと成人とでは飲み方(嚥下)が大きく異なるんです。

スパウトやストローではなく、何故コップ飲みからなの?

よく、育児書でも最初の水分摂取の練習としてスパウト・柔らかいストローなどで行いますとの記載を見かけます。しかし、口腔育成という考え方からは「コップ飲み」がとても大事です。

自分がストローで水分を摂取するときをイメージしてください。

僕らががストローを使用するときは、ストローの先を口唇で軽く挟んで飲みます。
しかし、乳児嚥下が残った子供はストローを深く口に入れ母乳を飲むように、舌でストローを包み込むこ、乳児嚥下にて飲むようになってしまいます。

同じストローでも嚥下が発達していない子供はストローを乳首を吸うような感覚で水を飲みます。
よって、ストローやスパウトなどで水分補給をおこなうと、この乳児嚥下が残存しやすくなります。

この乳児嚥下が長期に残ってしまうと、口の周りの筋肉を収縮させて飲むので顎の発育を妨げるようになってしまい、顎が狭くなってしまいます。なので、お口の環境を整えるためにもストロー飲みではなく、コップのみからはいることがとても大事になります。

では、実際どのようにトレーニングをしていくか説明していきます。

トレーニングの正しい順番は?

水分摂取のトレーニングは次のような順番で行います。実はストロー飲みは最後なんです!!

スプーン→レンゲ→コップ→ストロー

スプーン

水を飲む練習はおすわりが出来て、離乳食が始まる生後6か月頃から練習を開始します。
この頃には「乳児嚥下→成熟嚥下」ができるようにのどの構造的にも変化していきます。

しかし、いきなりコップで飲むのは難しいです…なのでスプーンから練習しましょう。
ここでの目標は「水をすする」ことです。

「水をすする」っという行為は実は学ぶことです、外人は麺をすすることが出来ないと聞いたことはありませんか??なのでここでは「水をすする」ことを目標で頑張りましょう。

練習方法は…

練習方法

1,まずは食事と同じで口の中にスプーンを入れて水を飲み込むように練習します。
2,1が出来るようになってきたら、スプーンを唇に当てて、少し傾け水分を口にれてあげます。
3,2が慣れてきたら、スプーンを唇に当てて、自分ですすらせるようにしましょう。

※注意事項
スプーンで水あげると、ダーと口からこぼすか、上を向いて流し込もうとします。
最終的には斜め下を見ている状態でスプーンの水を飲み込ませるようにします。上を向いてるうちは、「水をすする」のではなく流し込んでしまっている状態となります。

スプーンでは「水をすする」ことを学ばせましょう!

大きなスプーン(レンゲ・カレー用のスプーンなど)

スプーンで「水をすする」ことができるようになったら、より大きなスプーン(レンゲ、カレー用のスプーンなど)に移行します。ここでは水を連続ですするようにトレーニングを行います。
ズズズーと飲むイメージです。

僕らが熱いラーメンの汁をレンゲですするようなイメージです。

これが出来たら次はコップ飲みに挑戦です。

コップ

そして最後にコップ飲みです!
「水をすする」→「水を連続ですする」→「コップで飲む」となります。

オススメのコップとしては、取っ手が2つ付いている飲み口が広い軽いコップがおすすめです。また、おちょこなどコップに鼻がつかないコップもオススメです。

コップ飲みの練習を始めるにあたり、いきなり飲ませると服がビショビショになります。最初はエプロンしたほうがいいかもしれません…または、お風呂で練習なんかもありですね。

やり方のポイントとしては…
1,飲む時は一緒にコップを支えて支えて、飲む量を調整してあげます。自分でやらせるとドバ~と大量に水が出てかぶってしまいます。
2,少しの量だけ水をいれると中々水が飲めず、傾ける量が大きくなるので、最初は水は多くいれましょう!こぼされるのが怖くて少ない量にする方が多いのがですが、実は多いほうがコントロールしやすいです。イメージは「熱いラーメンの汁をレンゲなしですする感じ」です。少ないと顔面にかかりますよね…

何回か練習をしていると出来るようにようになります…ただ、そんな時間はない!というお母さん方には
僕個人としては、「ハンドル付ミラクルカップ」という製品をオススメしてます。

逆さにしてももれない、縁をのすすると水が出る構造です。
なにしろ、ドバ~と水浸しにならないのが本当に便利です。また、すする力を強くして唇のトレーニングにもなります。

動画をみてください↓

参考にしてみてください。

まとめ

最近は育児書をみると、コップから指導するのが増えてきました。
ストローで飲ませても何も利益はありません。強いて言うならお母さんが楽ってことだけです。ある意味これが重要ですが…

しかし、お口の発達(歯並び・発音)などを考えるとやはりコップ飲みを練習することはとても大事です。
是非、コップで水分を飲ませる練習をしてください。