過剰歯と診断されたらココをみて下さい。

〜ある日の診療室での会話〜

お母さん
前歯が出てこなくて、レントゲンとったら過剰歯があると言われました…過剰歯って何ですか?
パパ先生
検診で歯が出てこないからレントゲン撮ったらなんと過剰歯がありました!というパターンが多いですね。今回は過剰歯について説明しますね。

過剰歯とは?

乳歯は全部で20本、永久歯は全部で32本、それ以上多く出来てしまった歯を過剰歯といいます。

「むし歯、歯のぶつけたなどでレントゲンを撮ったらたまたま見つかった」
「前歯の永久歯がでないのでレントゲンとったら余分に見つかった」
「突然、歯の裏側から尖った歯が出てきたのが過剰歯だった」

大体、この3パターンで発見される事が多いです。

男>女に多くて、約30人に1人(論文による)にあることがあり、1クラスに1人の割合で存在します。

半分以上の過剰歯は上の前歯に集中して発生します。

過剰歯の種類

過剰歯には次の2種類があります。

過剰歯の種類

1,順生過剰歯
2,逆生過剰歯

簡単に違いを説明しますと、通常の歯のように口の中にでてくる物を順生過剰歯、鼻の方にでてくる物を逆生過剰歯といいます。

詳しく説明していきます。

順生過剰歯

通常の歯のように口の中にでてくる物を順生の埋伏過剰歯といいます。
前歯の裏側が少し膨らんでいたりして、気づくこともあります。

「ん?突然歯の裏側から歯が出てきました、永久歯ですか?」

なんて、歯医者さんにくる方がいますが、舌側から突然出てきた場合には過剰歯の事が多いです。

逆生過剰歯

鼻の方にでてくる物を逆生の埋伏過剰歯といいます。見た目だとまったくわかりません。真ん中がハの字開いてしまっていたり、過剰歯が邪魔で永久歯がねじれながら出てきたりします。

レントゲンでみると…

こんなに大きな歯が真ん中にあれば永久歯が出てくるのに邪魔ですよね。
よって…

「乳歯が抜けたのになかなか永久歯が出てこない」
「前歯がハの字で真ん中が閉じない」

と相談され、レントゲンをとったら過剰歯がありました。というパターンが多いです。

過剰歯が原因で起こるトラブル

過剰歯があると次のような問題が出現します

過剰歯による影響

1,永久歯が生えてこない
2,永久歯の歯根を溶かしてしまう
3,上の前歯に隙間が出来る(歯並びが悪くなる)
4,放置すると(逆生過剰歯)では鼻の近くまで移動する
5,歯の周囲に膿胞ができて骨を吸収する可能性がある

それぞれについて詳しく説明していきます。

永久歯が出てこない

子供の顎は小さいです…そんなところに歯が余分に1〜2本あったら永久歯が引っかかり出てきません。永久歯が出ないようなら過剰歯の抜歯が必要です。

永久歯の歯根を溶かしてしまう

レアケースですが過剰歯が永久歯の歯根にあたり、吸収してしまう事があります。一生使用する永久歯なのでちょっとした事が抜歯につながりますので注意が必要です

上の前歯に隙間が出来る(歯並びが悪くなる)

過剰歯が原因で真ん中が必要以上に隙間が出来てしまうことがあります。
必要以上に開いてしまうと閉じなくなります。
「過剰歯がある=矯正」の可能性がありますので、かかりつけ医の先生とよく今後を相談してください。

放置すると(逆生過剰歯)では鼻の近くまで移動する

数例ですが、鼻の中から過剰歯が出てきた症例が報告されています。

逆生の過剰歯の場合は鼻の方向に進む可能性があるので注意が必要です。また、鼻の方までいってしまうと抜歯が困難となりますので、レントゲンで適宜経過観察をしてください。

歯の周囲に膿胞ができて骨を吸収する可能性がある

何かの影響で埋伏している過剰歯が細菌感染すると大きく腫れる可能性があります。その影響で永久歯に影響がでる可能性があります。

治療法は?

「抜歯です!」

中には過剰歯が歯の萌出に影響なく、たまたまレントゲンをとったら50代になって見つかったなんてこともありますが、結構レアケースです。

過剰歯があると何らかの影響があるので、抜かないで放置するのは上記の理由からやめて頂いたほうがいいです。

治療方針は過剰歯の状態によって異なります。

順生過剰歯の場合

勝手に歯の裏側から出てくる事が多いです。

順生の埋伏過剰歯の場合は経過観察をして、歯が出てきたら抜歯です。
慣れている先生なら5分もかからずに抜歯できるので楽です。

万が一出て来ない場合は切開して抜歯することになるので結構大変です…

逆生過剰歯の場合

切開して抜歯となります。

よく、どのくらい大変ですか?と質問されますが…
「お母さん、親知らず抜いたことありますか??歯茎開いて、骨削って…」
経験している保護者なら「あー」とると思います。

あれと同じです、逆性過剰歯の抜歯は「子供バージョンの親知らず抜歯」と説明しています。

よって、低年齢の子供には難しです。
麻酔さえ我慢できれば、処置できますので、小学生以上になるとわりと黙って処置できます。

下に過剰歯の抜歯の仕方の動画をのせます。
※血が弱い方は絶対みないでください。

また、過剰歯が鼻の方まで進んでしまった場合には位置が深く、街の開業医では対応出来ないケースがあります、その時は大学病院の口腔外科などで抜歯が必要となります。

どんな病院にかかればいいの?

過剰歯の抜歯はやはり、小児歯科専門の医院の方が症例数が圧倒的に多いです。
また、将来的に矯正が必要なケースが多いので、矯正をやっている医院がオススメです。

ご心配の方は小児歯科専門医の先生にご相談ください↓

まとめ
前歯のレントゲンをとったら過剰歯があった…突然な事が多いです。今後矯正の可能性もあるのでかかりつけ医とよく相談の上、治療計画を立ててくださいね!